頭頸部がんと栄養療法
頭頸部がん患者では、食物の通過経路の入口にあたる領域に病変が発生するため、早期より経口摂取が制限されていることが多く、治療開始前にすでに悪液質に分類されてしまう患者も少なくない。口腔・咽頭の形態を大きく変化させるような外科的治療、あるいは口腔・咽頭に高度の粘膜炎や唾液分泌低下を来す化学放射線療法は、栄養素の摂取能力をさらに低下させ、がん治療の完遂を妨げることもある。したがって、頭頸部がんの治療においては、がんに対する治療だけでなく、低栄養状態の改善と良好な栄養状態の維持を同時並行で進めることが不可欠である。そこで我々の施設では、頭頸部がん患者のみを対象とする栄養介入チームを立ち上げ、継続的な栄養介入を行っている。頭頸部外科医がチームの中心を担っているため、治療のphaseによって日々変化する嚥下機能に応じた栄養の投与法と投与内容の決定にリアルタイムで介入することが可能である。
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